予防接種健康被害救済制度のご相談が急増してます

 最近、コロナワクチンに関する、予防接種健康被害救済制度のご相談が多数寄せられています。

 私が保健所に勤務していた時は、大人の予防接種であれば保健所が受付をして調査をし、子どもの予防接種は子どもの部署が担当していました。私が居た当時は圧倒的に子どもの健康被害が多く、保健所での大人の対応は私が記憶しているのは数件です。

 ところが、最近になって私のところに、コロナワクチン接種での重篤な健康被害のケースが多数来ています。最近新聞報道等でも、健康被害の実態が報道されるようになってきましたが、私の肌感覚ですが、その人数や死亡者の数から、大変な事態が起きているのではないかと感じています。そこで、今回は予防接種健康被害救済制度について、雑感を書きます。

 予防接種健康被害救済制度というのは、予防接種法に規定されているもので、やはり薬を身体に注射等するので、昔から少なからずアナキラシーショックなど身体に被害が出ることは知られているところです。国が予防接種を受けるよう指導したり、推奨したりする訳ですが、接種の推奨の度合いに分けて、被害が生じたとき金銭的な救済をする制度となっています。https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/vaccine_kenkouhigaikyuusai.html

 この制度の申請は、被害が生じたらまずお住まいの市町村に申請をします。その書類を集めるのが一苦労なのですが、何より今までほとんど申請が無かった事務なので、市役所側がやり方を熟知していないという問題もあり、申請のときに苦労される方が多いです。

 そして申請が受理されると、まず市町村で外部の医師からなる審査会で、健康被害と予防接種の因果関係が審査され、その後厚生労働省の疾病・障害認定審査会(医師からなる審査会)で同じ審査がされます。予防接種法では、第15条 で予防接種による疾病、障害又は死亡が当該予防接種を受けたことによるものであると厚生労働大臣が認定したときは金銭的な給付を行う、となっています。したがって何故市町村で医師を集めて審査しているのかが不明です。私の経験では、市町村の医師が予防接種との因果関係を認めても、厚労省の医師が認めないケースがかなりある、という実感をしています。

 例えば、コロナワクチン接種を打った後に、元気だった配偶者等が若くして急に亡くなったとしたら、ご遺族は絶対に予防接種の副作用に決まっていると考えます。それは当然のことですが、余りの突然の出来事に、落ち着いて物事を考えるという事は出来ず、その予防接種被害の証拠を保全できないという実態があります。いくら遺族が予防接種のせいだと思っても、この予防接種救済制度は簡単には因果関係を認めてくれず、その傷病名に関連があるか(ファイザーでは傷病名のリストが公表されています)、接種と発症の時期が近接しているか、 他の原因は考えられないか、などが審査されます。接種後すぐに具合が悪くなるのはほぼ全員であって(モデルナアーム等)、具合が悪くても医者に行ったのは3週間後というようなケースが多くあります。調子が悪くなるのは当然と言われていたコロナワクチンなので、一定期間我慢してしまうのです。そうすると厚労省では、接種から発症までの期間が長すぎるから、因果関係が無いという判定になります。なので、ご遺族は接種後の配偶者の身体状況を書き留めること、そして辛い判断ですが、病理解剖をしてもらう事を依頼することです。解剖医に接種後の状態を詳細に伝え、予防接種との因果関係をきちんと解剖で調べてくれ、と伝えることが重要です。そして、亡くなった病院での死亡診断書には、急変して亡くなるケースが多いので、医師の質問にきちんと答えられないのは当然なのですが、ここで頑張って、配偶者の接種後の体調などの様子を詳細に伝えて、予防接種との因果関係が有ると思うので、そのことが反映された死亡診断書を書いて欲しい、とお願いするべきだと思います。

 亡くなられた場合は死亡一時金の請求ですが、重篤な長期に渡る健康被害で、仕事が出来なくなり会社を辞めた場合などは、障害年金の請求となります。予防接種救済の障害年金と、国民年金厚生年金の障害年金とは全く違う制度ですので、注意が必要です。国民年金の障害年金は初診日から1年半後の身体の状態を審査するのが多くのケースです。ところが予防接種健康被害救済制度の障害年金は1年半という規定はありません。なので、接種後すぐでも良いのですが、なぜか厚労省の運用は、障害固定又は障害確定(推定)が必要、という運用をしています。なので、接種後1年くらいずっと具合が悪くて働けなくても、まだ今後の予後は分からないから、医師は診断書に「不明」と書きます。すると障害が固定していないから否認される、という結果となってしまいます。私の経験では障害年金を支給された方は、接種後すぐに意識が戻らない植物状態になった方くらいしか認めらていないという実態ではないかと思います。これでは何のための救済制度なのかと思いますし、実際に仕事が出来ないので、収入が途絶える訳ですから、国の責任回避も甚だしいと思うところです。ただ、予防接種での健康被害であっても、厚生年金国民年金の障害年金は受給できますので、両方の受給権がある場合は調整がありますが、両方とも申請は是非してください。

 予防接種救済の障害年金用の診断書は、一般の診断書とは違う特殊な書き方が必要です。一般の医師では気づかず、しっかりと患者さんの話を聞いて書いても、抜けている部分が多くなってしまう診断書となっています。また、最初の申請から相当の時間を待たされて、結果が不支給だったとき、審査請求は出来るのですが、自分でやるか又は弁護士に依頼しなければならない、という問題が出てきます。踏んだり蹴ったりという状態で、困っている方を多く見てきました。

 そこで一つのやり方として、不支給になった申請はあきらめて、最初から診断書を作成し申請をし直す方法も有効ではないかと思っています。その際であっても、身体の状態は同じで初めからの審査になりますので、また時間はかかるし、同じ審査会メンバーでの議論で厳しいことに変わりはありません。ですが私の感覚としては、審査請求でひっくり返すことを目指すより、新たに申請した方が1回目の経験から作戦も立てて望めますし、診断書もより精度の高いものを依頼できますし、少し可能性が上がると思っています。最初の段階から行政書士に申請書提出を依頼すると、審査請求の取り扱いは特定行政書士に依頼できるというメリットもあります。是非、困っている方がいらっしゃいましたら、ご一報ください。